増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
血液生化学検査
糖質および関連物質
インスリン受容体と抗インスリン受容体抗体
小田原 雅人
1
1筑波大学臨床医学系内科
pp.150-151
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909787
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インスリン受容体
糖尿病はインスリンの相対的な作用不足によって引き起こされるが,インスリンは標的細胞上の受容体に結合することにより,その作用を発現する.インスリン受容体は分子量135,000のαサブユニットと95,000のβサブユニットの2種の糖蛋白からなり,S-S結合によって四量体(β-α-α-β)として存在している.αサブユニットは細胞外に位置し,インスリン結合部位を有する.βサブユニットは細胞膜貫通部位(918-940番アミノ酸)を有し,インスリン作用の発現に重要な①チロシンキナーゼ領域(990-1247番)と,その中に存在するATP結合に重要な②Gly-X-Gly-X-X-Gly……Val-Ala-Val-Lysを持っている.インスリン受容体遺伝子の情報より,αサブユニットは719個(Ebinaらの報告では731個),βサブユニットは620個のアミノ酸よりなり,両サブユニットはArg-Lys-Arg-Argによって結ばれた一本鎖として生成された後,2つに切断されることが明らかになった.また,細胞外領域には糖鎖の結合部位が存在している.
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