増刊号 図解 診療基本手技 第2集
診療手技
穿刺および生検法
心膜穿刺法
堀越 茂樹
1
1東京慈恵会医科大学柏病院・心臓外科
pp.215-218
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909686
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●心膜穿刺法
心嚢内には正常でも少量の心嚢液が存在するが,内圧はほとんどゼロである.なんらかの原因で心嚢内に液体が貯留した場合,貯留液量が80〜120mlまでは内圧の上昇は少ない.しかし,それ以上になると,急速に貯留した場合には50 ml加わっただけで内圧は著しく上昇し,心腔の拡張障害をきたし,ショックに陥ることがある.一方,徐々に貯留した場合には,数100ml貯留してもあまり影響を及ぼさない場合さえある.このことは,貯留液量よりも貯留速度,すなわち急速に上昇する心嚢内圧が血行動態に大いに関係していることを示す.
実際には,心嚢内圧が上昇し,CVPが15〜20cmH2O以上になると心腔の拡張障害をきたし,末梢血管収縮,頻拍などによる代償機構がくずれ,非代償性となり,急激に血行動態が悪化する.このような状態,すなわち心タンポナーデのとき,可及的速やかに心膜穿刺を行い,心嚢内液を排除し減圧を図る必要がある.特に,急性心タンポナーデではわずか20〜30mlの排液で血行動態は劇的な改善をみせるものである.
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