今月の主題 心膜疾患の臨床
治療
心膜穿刺法
赤塚 宣治
1
Nobuharu AKATSUKA
1
1東京大学医学部・第1内科
pp.66-67
発行日 1980年1月10日
Published Date 1980/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216372
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はじめに
心膜液貯留を認めた場合に,その原因の究明,治療の目的で心膜腔に何らかの方法により到達し,液の採取,組織の採取,気体の注入,薬物の注入などを行う必要が生じる.心膜腔に到達する方法はblind pericardiocentesisによる方法とdirect pericardiotomyによる方法に大別される.それぞれの方法の歴史的背景,得失に関してはKilpatrickとChapman1)による綜説に詳しく記載されている.
心膜穿刺法は,19世紀初めから用いられるようになった心膜切開法がしばしば細菌感染の原因となったために工夫されたもので,1840年にウィーンの医師Schuh, F.により施行された第4肋間胸骨左縁からの経路が初めてのものである.その後広くblind pericardiocentesisが用いられるようになり,穿刺部位に関しても種々工夫が加えられた.しかし,心膜穿刺は危険を伴うものであり,外科的に直接切開を加える方法との得失の比較が種々なされてきた.
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