臨時増刊特集 図解 診療基本手技
Ⅲ 救急手技
C 緊急穿刺法
40.心膜穿刺法
堀越 茂樹
1
,
新井 達太
1
1東京慈恵会医科大学・心臓外科
pp.2336-2337
発行日 1986年12月15日
Published Date 1986/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220699
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心嚢内には正常でも少量の心嚢液が存在するが,内圧はほとんどゼロである.何らかの原因で心嚢内に液体が貯留した場合,貯留液量が80〜120 mlまでは内圧の上昇は少ない.しかし,それ以上になると,急速に貯留した場合には50ml加わっただけで内圧は著しく上昇し,ショックに陥ることがある.一方,徐々に貯留した場合には数100 ml貯留しても余り影響を及ぼさない場合さえある.このことは貯留液量よりも貯留速度,すなわち,急速に上昇する心嚢内圧が血行動態に大いに関係していることを示す.実際には心嚢内圧が上昇し,CVPが15〜20 cmH20以上になると,代償機構がくずれ,非代償性となり,急激に血行動態が悪化する.このような状態,すなわち心タンポナーデの時,心膜穿刺法を行い心嚢内液を排除し減圧を図る必要がある.特に,急性心タンポナーデではわずか20〜30 mlの排液で血行動態は劇的な改善をみせるものである.
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