増刊号 図解 診療基本手技 第2集
基本的な臨床検査と画像診断法
電解質検査
花井 順一
1
,
内田 俊也
2
1東京大学医学部・第1内科
2公立昭和病院・腎臓内科
pp.101-109
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909661
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
●総論
生体内の細胞は,体液という内部環境の中で細胞機能を営んでいる.体液は適切な水分量と適切な種々の電解質濃度を含み,飲食という経口摂取による大きな変動にもかかわらず,それら体液の状態は常に一定の範囲内に保たれている.これをホメオスターシス(恒常性)という.たとえば脱水により細胞外液が減少すると,血漿浸透圧が上昇し,抗利尿ホルモンが分泌されて,腎での水再吸収を高めて水分量の喪失を防ぐなどの例で理解しやすい.このように体液のホメオスターシスは異常が生じたことを感知するセンサーが生体に存在し,そのシグナルが腎に伝達され,腎ではそのシグナルに適切に反応して異常を補正するメカニズムが働くことで維持されている.このような微妙な調節機能はおもに尿細管でなされるめ,電解質異常は尿細管での調節異常であることが多い.
本稿では電解質の読み方における基本的な事項について記載する.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.