今月の主題 内科医のための小児診療のコツ
小児診療のコツ
病歴のとり方
加藤 裕久
1
1久留米大学医学部・小児科
pp.1280-1282
発行日 1990年8月10日
Published Date 1990/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900317
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●問診は医師と患者の最初の出会い—暖かい人間的な場をつくる
病歴を含めた問診は医師と患者が出会って,まず最初に行われるものである.問診は診断や患者の問題点の分析のための情報集めと同時に,もうひとつの重要な役割をもっている.それはこの場が医師と患者,家族との出会いの場であるからである.それは人と人との出会いであり,人間的なものでなければならない.暖かい,思いやりのある出会いの場を作ることは医師と患者の良いコミュニケーションを作るうえで重要なことである.
患者は身体的,心理的な苦しみ,不安,悩みを持って病院を訪れる.初めて病院を訪れる時はとくにそうである.さらに先生はやさしい良い先生だろうか,痛い検査や注射をされないだろうかなどの心配もそれに加わる.ある意味では正常の心理状態ではないともいえる.そのために医師と患者の出会いは普通の人の出会いより,より暖かく,思いやりに包まれたものでなければならない.
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