臨時増刊特集 図解 診療基本手技
Ⅰ 病歴のとり方
5.病歴のとり方の具体例—腹痛
木戸 友幸
1
1国立大阪病院・内科
pp.2200-2202
発行日 1986年12月15日
Published Date 1986/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220664
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腹痛は,医師を訪れる際の主訴のうちで,最も多いものの一つである.また,その原因は,千差万別であり,緊急処置(主に外科的)が必要な急性腹症の場合もありうる.この急性腹症に対し,原因を明確にする前に,対症的に鎮痛剤—特に麻薬系—を与えることは,かえって原因治療の時期の判断を誤らせ,悲劇を招くことになる.
したがって,確実な方法は,詳細かつ迅速な病歴をとり,その後,あるいは同時に,同様の診察をすることである.これにより,診断の焦点がかなり定まり,処置あるいは検査の方針が決定できる.こう書くと,痛みに苦しむ患者を前にして,いくつもの質問をしているというイメージを持たれるむきもあろうが,実際には,診察を同時に行いながら,的確な質問をすれば,この経過が5分をこえることはまれである.しかし,このためには,必要な質問事項と可能性のある疾患のリストを頭の中に整理して入れておかねばならない.
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