今月の主題 ウイルス肝炎1990
日常診療での肝炎マネージメント
肝炎患者に対する正しい生活指導・食事指導
渡辺 明治
1
1富山医科薬科大学・第3内科
pp.1478-1480
発行日 1990年9月10日
Published Date 1990/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909559
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
つい50年程前までは肝疾患には黄疸がみられるものとされ,低蛋白・高炭水化物・低脂肪食による食餌療法と臥床安静療法を中心に,「肝庇護」の名のもとに生活指導がなされてきた.その後,カタール性黄疸の時代から慢性ウイルス肝炎の抗ウイルス治療へと肝疾患の診療レベルも飛躍的に向上してきた.栄養障害を背景とするアルコール性肝硬変に対する高カロリー・高蛋白食1)が,物資の乏しい戦後のわが国の肝疾患(主としてウイルス性)にも適応され,それなりの効果をあげてきた.昭和40年前後から,高度経済成長を経て電化製品の普及や車社会の到来など生活様式が大きく,急速に変化し,今日,栄養過剰や運動不足の問題が深刻化するに至った.
このような観点から,肝疾患といえば一律に行われてきた古き時代の生活指導は,今日,肝疾患の木目細かな病期・病態に応じた個別的指導と大きく様変わりしなければならなくなった.とくに,患者の生活の質(QOL)の向上を意識した指導でなければならない点が大切である.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.