カラーグラフ Oncology Round・8
不顕性癌(occult carcinoma)の1例
片山 勲
1
,
丸山 正董
2
,
畑中 浩成
1
1埼玉医科大学・病理
2丸山記念総合病院・外科
pp.683-687
発行日 1990年4月10日
Published Date 1990/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909543
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不顕性癌(occult carcinoma,潜在活動性癌とも訳される)は,転移が出現していながら原発巣を明らかにしえない悪性腫瘍のことで,原発巣不明転移癌(metastatic carcinoma of unknown primary)と呼ばれることも多い.原因不明熱(feverof unknown origin;FUO)が内科診療上の重要な課題であるのと同様に,不顕性癌はoncology診療上の重要な課題のひとつとされている.
FUOは,38.4℃以上の発熱が3週間以上経過し,1週間以上諸検査を続けるにもかかわらず原因不明の場合を呼ぶというように明確に定義されているが,不顕性癌の定義には諸家の間でかなりの差異が認められる.一般には,リンパ節・骨・肝・皮膚・脳などの生検により癌転移の病理診断が下された患者において,問診,身体検査,胸部X-P,血液検査,尿検査,糞便凝血検査を行ったにもかかわらず原発巣が不明の場合とされている.
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