今月の主題 白血病—最新の知見と治療
疫学と病態
残存白血病の診断
清井 仁
1
,
直江 知樹
1
1名古屋大学医学部分院・内科
pp.571-574
発行日 1990年4月10日
Published Date 1990/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909515
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近年化学療法の進歩により,急性白血病の完全寛解率は80〜90%に達している.しかし,寛解症例においても,その約8割は再発をきたし治癒を得られずにいるのが現状である.
急性白血病の完全寛解は,白血病細胞の末梢血中よりの消失と,骨髄における5%以下の減少,および正常造血能の回復によって定義され,いわばみかけ上の骨髄機能の正常化を意味するにすぎない.一般に急性白血病初診では,体内に1012レベルの白血病細胞があるとされ,寛解時でも,従来の骨髄血スメア標本では検出不可能な白血病細胞が108レベルで残存していると推定され,この微少残存白血病細胞をいかに高感度で検出し根絶させうるかが急性白血病の治癒を得る重要なポイントとなり,さらには白血病再発の早期発見へとつながる(図1).
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