今月の主題 消化器診療のcontroversy
胃・十二指腸疾患
Non-ulcer dyspepsiaに対して消化管運動改善薬は有用か?
原澤 茂
1
1東海大学医学部・内科学第6
pp.220-221
発行日 1990年2月10日
Published Date 1990/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909473
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●Non-ulcer dyspepsiaとは?
Non-ulcer dyspepsia(以下,NUD)は欧米で表現されている疾患で,日本にはこれに該当する疾患はないが,消化管機能異常を本体とする疾患であると考えられている.しかし消化性潰瘍や胃癌などの器質的疾患に伴う機能異常(ulcer-like dyspepsia)がみられ,自覚症状の発現に大きく関与しているものである.とくに機能異常に伴う自覚症状としては胃部膨満感,胃もたれ,嘔気・嘔吐,食欲不振などであり,この自覚症状の発現と食後期の胃運動である胃排出遅延状態と密接に関係しているのである.
一方,器質的疾患がないにもかかわらず胃運動異常がみられることが見いだされてからNUDが注目されてきた1).消化管運動異常を病態とするNUDには,上部消化管では逆流性食道炎,胃排出遅延を本体とするNUD,下部消化管では過敏性腸症候群などもその範疇に入るものであるが,一般的には胃を中心とする機能異常が問題になる.
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