今月の主題 心不全へのアプローチ
薬物治療—適応,使い方,副作用
代謝改善薬
山沖 和秀
1
,
矢崎 義雄
2
1東京大学・保健センター
2東京大学医学部・第3内科
pp.1394-1399
発行日 1991年8月10日
Published Date 1991/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901012
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心筋は,種々の負荷に対する適応現象として細胞肥大をきたすが,十分な毛細血管の増生を伴わないため,心筋は相対的に虚血となる.また,肥大心筋が酸素消費量を増加するため,ますます虚血が進展する,こうした,虚血によるエネルギー産生効率の低下・細胞内pHの低下や,細胞膜・筋小胞体の機能障害が加わり,心不全が発症すると考えられている1).
一般の強心薬は,このような弱った心筋を,いわば,鞭打って収縮を改善しようとするもので,残り少ない心筋エネルギーを枯渇させる危険性があり,実際,予後をむしろ悪化させる可能性も指摘されている.
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