今月の主題 経静脈・経腸栄養療法のストラテジー
栄養不良症の成因と疾病治療における重要性
蛋白栄養不良症の病態生理
松枝 啓
1
1国立国際医療センター消化器科
pp.210-213
発行日 1998年2月10日
Published Date 1998/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909210
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ポイント
●人間が生存するために必要なグルコースの供給源であるグリコーゲンの貯蔵はきわめて少量であり,絶食時には生命維持に必要なグルコースを体内で産生する必要がある.
●このグルコースの供給は,主に筋肉組織と脂肪組織を分解して行われるが,外傷時には,筋肉組織の分解が飢餓時の3倍以上になるため蛋白栄養不良症が高頻度に発生する.
●この蛋白栄養不良症には,大別してマラスムス(Marasmus)とクワシオルコール(Kwashiorkor)の2種類が存在し,それらの身体的特徴および検査データが異なるため,それらの存在に気づかぬことがあり注意が必要である.
●蛋白栄養不良症は,易感染性および抗生物質に抵抗性の状況を惹起するため,患者の予後を左右する最も重要な因子である.
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