短期連載 医師が出遭うドメスティック・バイオレンス・4【最終回】
マサチューセッツ総合病院におけるDV対応プログラムと医療スタッフトレーニング
山田 真由美
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1マサチューセッツ総合病院・HAVEN
pp.1615-1619
発行日 2002年9月10日
Published Date 2002/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908881
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医療・健康問題としてのDV
女性に対する暴力は,深刻な社会問題である.そしてその多くは,被害者のパートナー(夫,ボーイフレンドなど)の手によってなされている.アメリカにおける研究によれば,3〜5人の女性のうち1人は,夫や前夫,パートナーや以前のパートナーから暴力の被害に遭うといわれている1).これらの親密な関係の間で起こる暴力,ドメスティックバイオレンス(DV)は,アメリカの25〜44歳までの女性の重度外傷の主因であり,その件数は強盗,性暴力,交通事故による外傷の合計数を上回っている2).また,それらDVに関連する傷害に費やされる医療費は,全米で約18億ドルにも上ると推定されている3).
アメリカの医療界においては,ここ約10年ほどの間にDVへの対応が急速に進められてきた.1992年,Joint Commission on Accreditation of Healthcare Organizations(JCAHO)が,研修指定病院において,虐待・ネグレクト(放置,保護の怠慢のこと.
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