“One More Step”
膵尾部描出法のコツ(Ⅵ)—良いと思われる前処置がむしろ条件を悪くすることがある?
井出 満
1
1岸和田徳洲会病院腹部超音波室
pp.399
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907789
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前項までに肥満型の人の膵尾部アプローチについて説明しました.肥満型の人では膵臓の前方に胃がないことが多く,たとえ腹側に胃があったとしても呼吸法により位置を変えることが可能です.すなわち呼気状態にすると肝臓・胃は頭側に移動,膵臓は移動しにくいため膵前方の視界が良くなるのです.さらに胃の大彎側に持ってきた超音波ビームを足側から頭側にえぐり上げるようにするとモニタ上の臓器位置を簡単に変えることができます.
一方,膵尾部では,前方の腸管やガスを移動,排除しそれを引きずり出すために深吸気を使ったりすることがあります.膵頭部・体部では,それをすることにより胃や十二指腸が前方に移動し,むしろ悪条件になることがあります.膵頭部・体部では,普通の呼吸や呼気状態で,吸気で行うとしてもわずかなほうが描出は良好と考えています.
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