“One More Step”
膵尾部描出法のコツ(Ⅸ)—“最終編”
井出 満
1
1岸和田徳洲会病院腹部超音波室
pp.446
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907804
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(Ⅷ)まで,膵尾部描出の手法について述べてきました.これ以上もう“イヤ”と言う方もいらっしゃるかもしれませんが,あと一点お付き合いしていただきたいと思います.何かと言いますと,それは横行結腸です.横行結腸に便がないときには,今までの手法で十分なのですが,そこに便が存在しているときには,これも避けなければなりません.この場合には二通りの攻め方があります.まず,胃大彎と横行結腸との間からアプローチする方法と大腸の脾彎曲の間からアプローチする方法があります(図F).肥満型の人と痩せ型の人では胃と横行結腸との距離や大腸の脾彎曲のスペースが異なったりします.また,被検者や飲水などにより状況が変化しますので,膵尾部の位置を把握し,どのスペースを使えば描出できるのか考えていただければ十分可能だと思います.
(Ⅰ)から(Ⅸ)まで,長い道のりで疲れた読者の方もいらっしゃると思います.しかし,このように対処していただければ膵尾部は決して描出困難なものではないと思っていただけると信じています.ただし,そうはいっても圧迫・圧縮をうまく使わないと“すぐできる”というものではありません.ちょっとやってみて“やっぱりダメだ”と思わずに,根気よく,何回も繰り返し挑戦してもらえれば必ず描出できますので,ご健闘をお祈りしております.
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