今月の主題 「考える」診断学—病歴と診察のEBM
考える診断学の実際
救急編
呼吸困難
木村 弘
1
,
猪狩 英俊
1
1千葉大学医学部呼吸器内科
pp.1489-1491
発行日 2000年9月10日
Published Date 2000/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907621
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なぜ診断が重要か
通常,無意識下に行われている呼吸・循環系に何らかの異常が起こると,「呼吸の努力感」と「呼吸の不快感」が組み合わさり呼吸困難(呼吸困難感)を自覚する.呼吸困難は呼吸器疾患や循環器疾患で観察される主要徴候の一つであるが,神経・筋疾患や代謝性疾患においても認められ,その程度によってはquality of life(QOL)を低下させる症候ともなる.
一方で,呼吸困難は生体のアラーム機構の一つと捉えることもできる.救急医療の現場では,的確に呼吸困難の診断治療を行うことは,生死を分ける重要なポイントであることはいうまでもない.しかし,呼吸困難は主観的な感覚表現であり,心理的要因によっても修飾され,単一の感覚ではなく複合した感覚より構成されていることを十分に理解しておく必要がある.
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