今月の主題 「考える」診断学—病歴と診察のEBM
考える診断学の実際
common symptoms and signs編
アルコール依存症—内科で患者の否認をどう診るか
加藤 純二
1
1宮千代加藤内科医院
pp.1459-1461
発行日 2000年9月10日
Published Date 2000/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907613
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症例
症例1:58歳,男性.当院の近所の会社へ転勤してきたと受診.前医からの紹介状にある病名は,高血圧症,心室性期外収縮,高脂質血症,高尿酸血症,不眠症であった.飲酒習慣(1日ビール2本)があり,2週間後の採血検査を予約し,それまでの禁酒を指示した.「飲酒習慣がどの程度あなたの病気に影響しているか調べたい」と検査の理由を話すと,患者は「できない」という.「それなら他医を受診するように」と紹介状を返そうとすると,「やってみます」と帰っていった.2週間後の採血検査では,紹介状に添えられてあった異常値のすべてが改善していた.軽度の高血圧症と心室性期外収縮が残り,その後はβブロッカーのみの投与を続けている.飲酒はその後,家庭では止め,社交的に必要な最小限にとどめていて,6年後の現在,経過は順調である.
症例2:35歳,男性.両親と3人で老舗の自営業を続けている.本人はこの3年間,十二指腸潰瘍による入退院を繰り返していた.店は実質的に母親が経営しており,本人は断続的に大量飲酒をしていた.母親が保健所へ相談に行き,本人が再び強い腹痛を訴えたとき,母が当診療所を勧めて受診した.
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