図解・病態のメカニズム 胃疾患・7
ストレスと胃病変
矢花 剛
1
,
小林 壮光
2
1医療法人社団道都病院内科
2札幌同交会病院内科
pp.839-844
発行日 2000年5月10日
Published Date 2000/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907481
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はじめに
精神的・肉体的ストレスが胃病変の原因となり,腹痛など多彩な臨床症状を引き起こすことは,早くから知られていた.1950年代になってSelye1)が,ストレスと消化性潰瘍の関連性を指摘したかの有名な“ストレス学説”を提唱して以来,その発生機序に関する基礎的・臨床的研究が内外で精力的に進められてきた2〜6).これらの胃病変は,臨床の現場では“ストレス潰瘍”とも呼ばれ,その代表的なものとして,脳疾患や脳外科手術後のCushing潰瘍,広範な熱傷時に好発するCurling潰瘍などは特に有名である.
こうしたストレス潰瘍の大部分は,最近では急性胃粘膜病変(acute gastric mucosal lesion:AGML)あるいは病変の多くが粘膜にとどまらないことから急性胃病変(acute gastic lesion:AGL)とも呼ばれる7,8),一種の症候群に一括される傾向にある.そこで,本稿ではまずストレスと潰瘍・AGMLとの関係について述べ,次いでその病態生理およびHelicobacter pylori(Hp)感染との関連性など,ストレス潰瘍をめぐる最近の話題についても言及してみたい.
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