今月の主題 血栓症と抗血栓薬
血栓症の臨床—疫学と病態
血栓性血小板減少性紫斑病/溶血性尿毒症症候群—病態の鍵を握る新しい因子
八木 秀男
1
,
藤村 吉博
2
1奈良県立医科大学第2内科
2奈良県立医科大学輸血部
pp.731-734
発行日 2000年5月10日
Published Date 2000/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907457
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●von Willebrand因子(vWF)特異的切断酵素は,vWFのマルチマーサイズを調節し,vWFのもつ向血栓作用を調節している.
●血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は,vWF切断酵素活性の著減がその病因であり,家族性TTPはこの酵素の先天的欠損症で,非家族性TTPは後天的にこの酵素に対する中和抗体が産生されているためと理解される.
●溶血性尿毒症症候群(HUS)は,TTPとは異なり,VTによる腎血管内皮細胞障害が主体の疾患で,vWF切断酵素の中等度低下はHUSへの進展に関与している.
●vWF切断酵素活性の測定はTTPとHUSの両疾患の鑑別に有用で,活性低下の程度と病勢は平行することから,今後,臨床において必要不可欠なものと考えられる.
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