今月の主題 血栓症と抗血栓薬
血栓症の基礎—最近の研究の進歩
血栓形成の3要因—Virchow's triad
安保 浩伸
1
,
半田 誠
2
1慶應義塾大学医学部内科
2慶應義塾大学医学部輸血センター
pp.682-684
発行日 2000年5月10日
Published Date 2000/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907443
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●19世紀に提唱されたVirchow's triad,すなわち,①血管壁の変化,②血液性状の変化,③血流のうっ滞,は現在までに明らかにされてきた血管壁,血小板,血液凝固因子,凝固制御因子,血流などの血栓形成の複数の要因を集約しているといえる.
●静脈血栓は,内皮細胞の障害,血流のうっ滞の増強,APC抵抗性・プロテインC・プロテインS・アンチトロンビンⅢ欠損症・抗リン脂質抗体などが発症要因として重要である.
●動脈血栓は高脂血症,高血圧,喫煙,肥満などを危険因子とする動脈硬化による狭窄の結果,血流速度が増加し高ずり応力が発生し,血小板の粘着,凝集が起こり形成される.
●血小板の粘着,凝集は,vWF,コラーゲン,フィブリノーゲンなどの粘着蛋白と血小板膜上のGP Ib/IX複合体,GP Ia/IIa複合体,GP IIb/IIIa複合体などとの結合により引き起こされる.
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