カラーグラフ 病原微生物を見る・4
チフス
江崎 孝行
1
,
趙 立成
1
1岐阜大学医学部微生物学
pp.1898-1901
発行日 1999年11月10日
Published Date 1999/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906577
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
チフス菌(Salmonella typhi)は通性嫌気性のグラム陰性桿菌で,Enterobacteriaceae腸内細菌科に属する危険度レベル3の病原体である.
菌体の周囲は多数の鞭毛がついており(図1),表面はさらにVi抗原と呼ばれるきょう膜で覆われている.腸チフスを疑った場合は,選択培地SS培地(Salmonella-Shigella)を使用して便を直接この培地に塗布して分離培養するするが,他のサルモネラと異なりこの菌はSS培地上で硫化水素の産生が弱いため,赤痢菌と同じような透明の集落をつくる(図2).硫化水素は徐々に産生され,数日経過すると徐々に中心が黒く周辺が透明の集落になってくる.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.