技術講座 微生物
便からのチフス菌およびパラチフスA菌の検出法
依田 清江
1
1千葉県衛生研究所細菌研究室
pp.253-258
発行日 2009年3月1日
Published Date 2009/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102389
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新しい知見
チフス症はチフス菌あるいはパラチフスA菌の感染によって起こる全身性の疾患である.発熱で発症後,病期の進行に伴いさまざまな症状・徴候を呈する.近年,この症状・徴候に変化が起きている1).従来の3主徴であった徐脈,脾腫,バラ疹の出現する割合は減少し,一方,発症初期に下痢を呈する患者が8割以上に上る.しかし,検便を実施しても菌が検出されることは稀である.病期前半は菌血症を起こしており,チフス菌やパラチフスA菌は血液から検出される.発症初期から下痢を起こすようになった原因や便から菌が検出されない理由は不明であるが,最近,チフス菌およびパラチフスA菌には,一般に使用されるサルモネラの増菌培地や選択分離培地に増殖しにくい株が少なからずあることがわかった.
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