増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
腫瘍マーカー
乳腺・婦人科系
SCC抗原
加藤 紘
1
,
尾縣 秀信
1
1山口大学医学部産科婦人科学教室
pp.670
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906524
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
SCC抗原は,子宮頸部扁平上皮癌より抽出精製された分子量約45kDの蛋白質である.現在2種類の遺伝子(SCCA 1,SCGA 2)が18番染色体長腕上に同定されており,それぞれ等電点の異なるいくつかの亜分子種を発現しているが,特にSCCA2由来のものは酸性の等電点を示しており細胞外へ放出されやすい.SCC抗原は正常扁平上皮にも存在するが,扁平上皮癌ではこのSCGA 2由来の蛋白分画の産生が亢進しているところから,患者の血中で高濃度のSCC抗原が出現するものと考えられている.
いずれにせよ,SCC抗原は正常扁平上皮(皮膚や呼吸器,あるいは食道など)にも発現しているので,扁平上皮を有する器官で高度な組織破壊や重篤な異常をきたす場合は血中のSCC抗原濃度が上昇する.
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