検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
抗ENA抗体
宮脇 昌二
1
1岡山大学第三内科
pp.868-873
発行日 1982年10月1日
Published Date 1982/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202594
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抗ENA抗体とは
抗ENA抗体は,全身性エリテマトーデス(SLE)を中心とした各種の膠原病や近縁疾患に出現する,多彩な抗核抗体の一名称である.抗核抗体は,細胞の核や細胞質に存在する,核酸や種々の核蛋白成分と反応する自己抗体の総称であり,その種類は多彩である.
表1に各種抗核抗体の抗原成分をまとめて示す.細胞を核と細胞質に分けると,核抗原物質の一部は核のみならず細胞質にも分布していることがわかる.細胞核中の成分を大別すると,塩基性核蛋白であるヒストンと核酸DNAとが主成分であり,その他,RNAと結合した蛋白-リボヌクレオ蛋白(Ribonucleoprotein;RNP)や種々の酸性核蛋白が存在する.細胞より核を分離し,等張食塩水(0.14MNaCl)で溶解させて遠心すると,DNAとヒストンとは互いに固く結合した状態で不溶成分となって沈殿し,RNPや酸性核蛋白成分は可溶成分として上清に残る.
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