増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液生化学検査
酵素および関連物質
クレアチンキナーゼ(CK)とそのアイソザイム
高木 康
1
1昭和大学医学部臨床病理学教室
pp.274-275
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906342
- 有料閲覧
- 文献概要
異常値の出るメカニズムと臨床的意義
クレアチンキナーゼ(CK)はクレアチンとクレアチンリン酸との間を触媒する酵素であり,共役するADP⇔ATPの変化に伴う高エネルギーリン酸を介して,エネルギー代謝上きわめて重要な役割を果たしている.CKは筋肉や脳に多量に存在しており,これら臓器の損傷があると血中に逸脱するため,血中での活性が上昇する,したがつて,血中変動はCKが多量に存在する骨格筋や平滑筋,あるいは脳などの損傷を反映することから,日常的に測定されている.臨床的意義が高い疾患は心筋梗塞,筋ジストロフィ症などの筋肉疾患であり,甲状腺疾患,中枢神経系疾患,骨疾患でも診断に有用である.
CKには,細胞上清分画に存在するCK-MM(CK 3),CK-MB(CK 2),およびCK-BB(CK 1)と,ミトコンドリア分画に存在するミトコンドリアCK(mCK)の4つのアイソザイムが存在する.CK-MBは心筋に,CK-BBは脳に多量に存在するため,CK-MBが上昇する場合には心筋梗塞が,CK-BBが上昇する場合には中枢神経疾患が強く疑われる.また,mCKの上昇は疾患の重症度と関連して測定され,mCKが出現・増加する場合には重篤な病態と考えられる.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.