増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液生化学検査
炎症マーカー
シアル酸
森 三樹雄
1
1獨協医科大学越谷病院臨床検査部
pp.232-233
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906323
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
シアル酸(sialic acid)は,ノイラミン酸(neuramic asid)のアセチル誘導体化合物の総称である.生体内ではシアル酸の大部分が,糖蛋白または糖脂質で作られており,糖蛋白にシアル酸が結合したものはシアロ糖蛋白と呼ばれ,血漿,分泌液,細胞膜表面などに存在する.血漿中では急性相反応物質と呼ばれるα1-酸性糖蛋白,α1-アンチトリプシン,ハプトグロビン,CRP,SAA,セルロプラスミン,フィブリノーゲンなどがあるが,α1-酸性糖蛋白,α1-アンチトリプシン,ハプトグロビンは糖蛋白にシアル酸が結合した形で存在している.炎症や組織破壊を伴う疾患では,これらの糖蛋白が増加するため,シアル酸の量も増える.
血清シアル酸値の変動に関与する糖蛋白群はインターロイキン1,インターロイキン6,腫瘍壊死因子,インターフェロンなどである.シアル酸の合成はグルココルチコイドにより修飾される.シアル酸含有蛋白の半減期は2〜4日と短い.シアル酸は他の急性相反応物質と同様に感染症,慢性関節リウマチなどの炎症性疾患および悪性腫瘍,心筋梗塞,肺梗塞による広範な組織破壊が起こるときに高値を示す.
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