今月の主題 高齢者医療—現状と展望
座談会
介護保険制度における高齢者医療—何が変わるか,医師の役割とは
三浦 公嗣
1
,
吉岡 充
2
,
鳥羽 研二
3
,
井藤 英喜
4
1厚生省介護保険制度施行準備室
2上川病院
3東京大学医学部老年病学
4東京都老人医療センター内分泌科
pp.829-840
発行日 1999年5月10日
Published Date 1999/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906041
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介護保険のねらい
井藤(司会) いよいよ2000年から介護保険制度が導入されます.介護保険ができると高齢者医療のありかたは大きく変わると予測されていますが,実際にどのように変わるのかということになると,介護保険の制度的な枠組みやディテールがはっきりせず,なかなか確定的なことがいえない状況です.そこでまず,厚生省が考える介護保険制度のねらいを三浦先生からお話し下さい.
三浦 第一に,急速に進む高齢化への対応です.需要と供給の関係でいうと需要が非常に伸びてきますので,それへの対応がまず問題になります.同時に,供給サイドでも高齢化の影響はあります.既に高齢者の介護に従事されている方の約半数は60歳以上という状況ですので,介護を家庭の中で完結することが難しくなりつつあります.このような傾向は今後も続くと思われますので,現時点で何らかの対応をしておかないと,いずれ介護の質あるいは量が下がり,高齢者一人当たりについて提供されるサービスが低下していきます.そうしたことを勘案しますと,社会全体で高齢者を支えていく仕組みが必要になります.しかもそれは単にサービスを提供するだけではなく,様々な病気や障害を抱えながらも自立した生活をできるようにすることを目指します.
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