iatrosの壺
HTLV-Iassociated bronchopneumonopathy(HAB)にもマクロライド?
天野 裕子
1
1JR東京総合病院呼吸器内科
pp.486
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905742
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14員環系マクロライド少量長期投与の効果は,びまん性汎細気管支炎(DPB)をはじめとする慢性下気道感染症において工藤らにより既に確立されており,最近では特発性間質性肺炎急性増悪の予防効果も検討されている.1989年,杉本らがHTLV-I associated myelopathy(HAM)における肺病変に活性化Tリンパ球の関与があり,エリスロマイシン(EM)が奏効するという注目すべき報告を行って以来,当科ではHTLV-I関連肺疾患にも積極的に使用し効果を上げている.1例目は胸部X線上びまん性粒状陰影を呈したIymphocytic interstitial pneumonia(LIP)合併HAMで,EM600mg投与により胸部X線は軽快したが,神経症状はEM単独では改善しなかった.2例目はHTLV-I carrierで,胸部X線上多発斑状陰影を呈し,いわゆる丸山らが提唱したHTLV-I as—sociated bronchopneumonopathy(HAB)に相当した.clarithromycin(CAM)200mgで胸部X線の改善を認めている.なおBALFでは,肺感染細胞が引き起こす過剰免疫と思われるリンパ球比率の著増(77%,50%)とOKT4/8の上昇(2.1,3.2)が2例ともにみられた.
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