iatrosの壺
コンプロマイズドホストにおけるスパラ®の著効例
児嶋 真治
1
1西村内科脳神経外科医院
pp.483
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905739
- 有料閲覧
- 文献概要
新しいニューキノロン系薬剤が開発され臨床で使用されているが,予想以上に効果があった症例を最近経験した.
症例は75歳男性で,骨髄異形性症候群(MDS)の患者であった.6ヵ月前にRAEBと診断され地元の病院で経過をみられていたが,白血化(RAEB-t)し難治性肺炎を併発したため当院へ入院した.入院当初より喀痰培養でXanthomonas maltophiliaが検出された.感受性はCPZ,MINOのみで,IPMをはじめとするペニシリン系,セフェム系,アミノグリコシド系などほぼ全耐性であった.RAEB-tはいわば再生不良性貧血と白血病が合併したような疾患で,末梢白血球はおよそ1,000/μlで特に好中球は200/μl程度であり,ほとんど自然治癒力は期待できなかった.CPZ,MINOをはじめとする種々の抗生剤,α—グロブリンまで投与したが,肺炎は悪化し高流量酸素吸入,IVHを必要とした.入院3ヵ月目になるとCPZ,MINOも耐性化し,これ以上の改善は期待できず余命1ヵ月以内と考えられ,ほぼ諦めかけていた.ところが,今まで使用しなかったSPFX(スパラ®)を投与(当院で最近採用されたばかりで感受性試験は未施行)したところ,4日目より解熱し約10日で酸素中止でき,肺の陰影も改善がみられた.保険の制約上投与14日目に中止し他剤に変更したところ,肺炎は改善がみられ,IVH管理もはずれ,経口で10割摂取と信じられないくらい改善した.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.