増刊号 Common Drugs 350の投与戦略
アレルギー・リウマチ性疾患治療薬
ステロイド薬
プレドニン(塩野義)
大森 司
1
,
西岡 雄一
2
1山梨県立中央病院内科
2山梨県立中央病院リウマチ科
pp.423-425
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905691
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臨床薬理
●作用機序:臨床的薬理作用は,抗炎症作用と強力な免疫抑制作用である(補充療法は除く).しかし,作用はそのほかにも蛋白質・糖・脂肪代謝や各臓器への影響など広範にわたるため,様々な副作用を引き起こすことを忘れてはならない.①血液への影響;白血球数上昇,好中球増加,リンパ球,単球,好酸球,好塩基球減少がみられる.リンパ球では特にCD4+細胞数の抑制が強い.この大部分は血管外プールへの移行であり,抗炎症作用,免疫抑制作用の一因となる.②抗炎症効果;炎症の早期反応の白血球,単球,マクロファージの遊走を抑制するとともに,これらの炎症細胞由来の化学遊離物質分泌も抑制する.主にホスホリパーゼA2の阻害によるプロスタグランジン,ロイコトリエンの生成を抑制する.また,後期反応である毛細血管,線維芽細胞増殖やコラーゲンの沈着も抑制する.③免疫抑制効果;免疫反応の最初の段階であるマクロファージの集積を低下させ,IL−1の産生・遊離を抑制し,表面抗原処理とT細胞の活性化を抑制する.また,活性化T細胞より産生されるサイトカイン(主にIL−2)を抑制し,活性化T細胞の増殖・分化を抑える.引き続き,細胞間相互作用の抑制によりB細胞の増殖,抗体産生も抑制する.
●血中濃度モニタリング:臨床的には不必要であるが,その疾患の活動性を表す臨床所見,検査値により個々に投与量の調節が必要である.
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