知っておきたい産科婦人科の疾患と知識・5
軽い下腹痛と子宮外妊娠
松井 尚彦
1
,
藤澤 佳代
1
,
宮川 勇生
1
1大分医科大学産科婦人科
pp.183-185
発行日 1996年1月10日
Published Date 1996/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904929
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子宮外妊娠は産婦人科における急性腹症の一つとして極めて重要な疾患である.以前は卵管破裂による急性貧血症状などの所見を双合診,ダグラス窩穿刺により素早く診断し,ショックを未然に防止することに重きが置かれていた.しかし,近年では,高感度尿中hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)測定キットの開発や超音波診断装置,腹腔鏡の改良などの診断方法の進歩により,妊娠初期に未破裂の状態で診断し,さらにマイクロサージェリーやメソトレキセート卵管内注入法などによる卵管の温存を試み,次回の妊娠を考慮した治療法が選択されている1).
本稿では,軽度の下腹痛を主訴に内科医を受診することもある卵管破裂や流産を起こす前の典型的な子宮外妊娠の症例を紹介するとともに,その診断と対応について述べる.
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