増刊号 Common Disease 200の治療戦略
耳鼻咽喉疾患
扁桃炎
高橋 宏明
1
1大阪医科大学耳鼻咽喉科
pp.637-638
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904253
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疾患概念と病態
扁桃とは,咽頭にあるリンパ組織で,上咽頭に咽頭扁桃(アデノイド)と耳管扁桃,口峡に口蓋扁桃,舌根に舌扁桃が存在する.また,このほか扁桃という名はついていないが,同様なリンパ組織として,中咽頭に咽頭側索と孤立性リンパ小節(濾胞)がある.これらを総称してワルダイエルのリンパ環(または咽頭輪)と呼ぶ.出生直後から吸気と摂食(哺乳)により身体に侵入する外界のさまざまな異物(抗原)を捕捉・識別し,抗体をつくる働きがある.
上述のような位置および働きから,扁桃は炎症を起こしやすい.むしろ病理学的には常に炎症が存在するとも考えられる.したがって,特に扁桃炎というのは,何らかの症状がある場合を指す.
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