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高齢糖尿病患者に合併したBasedow病の症例
加藤 雅彦
1
1国家公務員等共済組合連合会斗南病院内科
pp.611
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904234
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慢性疾患を長期にわたり外来で診ていると,様々な疾患の合併に出会います.Basedow病もその一つで,典型的な症例では問診と理学所見のみでほぼ診断できるのですが,高齢者でははっきりとした自覚症状がなく,偶然の検査によって見つかることもあります.最近,私が経験した高齢糖尿病患者に合併したBasedow病の2例を紹介します.
症例1:65歳,男性.約30年の罹病歴の糖尿病患者.インスリンで治療していたが,夜間低血糖を起こすため当科入院となる.血糖日内変動にて朝食前111mg/dlが食後2時間で413mg/dlと極端な上昇がみられるため,甲状腺ホルモン検査をしたところT3,T4の高値とTSH低値がみられた.TRAb,シンチグラフィーの結果よりBasedow病の診断となった.3カ月で5kgの体重減少があったが,頻脈,発汗過多はなかった.入院後の脈拍は70台/分で,入院時心電図は正常洞リズムで不整脈はなかった.甲状腺腫大もなかった.家族歴は母親がBasedow病だった.
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