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第1土曜特集 脳・神経系の感染症――診断と治療の最前線
脳・神経系の細菌感染症ほか
破傷風
Tetanus
佐々木 亮
1
Ryo SASAKI
1
1国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院救命救急センター
キーワード:
破傷風毒素
,
破傷風トキソイド
,
抗破傷風人免疫グロブリン(TIG)
,
抗体価
Keyword:
破傷風毒素
,
破傷風トキソイド
,
抗破傷風人免疫グロブリン(TIG)
,
抗体価
pp.112-119
発行日 2021年4月3日
Published Date 2021/4/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27701112
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破傷風は破傷風菌(Clostridium tetani)の産生する破傷風毒素(tetanospasmin)が原因で急性の強直性痙攣を主とする臨床症状を呈し,時に致死的経過をたどる神経疾患である.その診断は臨床症状と特有の経過からなされるが,創傷部位が存在しない場合でも破傷風の可能性を除外せずに疑えるかがポイントとなる.難渋する診断と治療に対して成果をあげている予防政策の現状を鑑みると,破傷風は治療する疾患ではなく予防すべき疾患であるといえる.破傷風予防の重要な要点として,定期のワクチン接種に加えて適切な創傷処置と追加免疫療法があげられる.追加免疫療法には破傷風トキソイドと抗破傷風人免疫グロブリン(TIG)が存在する.破傷風抗体はワクチン接種のみで獲得され抗体価の保持は約10年間とされているが,わが国では成人以降の追加予防に関しての制度が存在しない.年齢別の破傷風抗体保有率の相違や,海外で実績をあげている破傷風免疫抗体迅速検査キットなどを組み合わせた新しい予防法の提唱が待たれる.
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