増刊号 Common Disease 200の治療戦略
内分泌疾患
亜急性甲状腺炎・急性甲状腺炎
葛谷 信明
1
,
金澤 康徳
1
1自治医科大学大宮医療センター内分泌代謝科
pp.398-400
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904134
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亜急性甲状腺炎
疾患概念と病態
本症は甲状腺の一部分に起きる非化膿性の炎症で,同部の自発痛と圧痛を訴え,触診で石様硬に触れる.甲状腺は一部,または全体として腫脹する.痛みの部位は一側から他側へと経過中に移動することがある,しかし,数週または数カ月後には完全に回復する疾患である.ウイルスが病因と考えられており,しばしば感冒様症状(発熱,四肢の筋肉痛,全身倦怠感,上気道炎)が前駆する.成人の女性に多く,小児には稀である.
組織像は,急性期には濾胞の破壊,上皮細胞の変性,コロイドの消失と多核白血球やリンパ球の浸潤,さらにはコロイドを貪食した巨細胞がみられ,回復期には線維化とともに濾胞細胞の再生による小濾胞をみる.これらの組織像と正常の甲状腺組織像が不規則に境界をつくっている特徴ある病理所見を呈する.
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