増刊号 Common Disease 200の治療戦略
内分泌疾患
甲状腺機能亢進症
中村 浩淑
1
1浜松医科大学第2内科
pp.394-395
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904132
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疾患概念と病態
甲状腺機能亢進症の用語の使い方には,若干の混乱が見られる.それは,甲状腺ホルモンの合成,分泌が亢進し,ホルモン作用が過剰となった病態を甲状腺機能亢進症と呼ぶ立場と,これより広義に,甲状腺ホルモンの合成が亢進していなくても,血中ホルモンレベルが高まった状態をすべて甲状腺機能亢進症と呼ぶ場合があるからである.さらに,甲状腺ホルモンの作用が亢進する疾患としてはBasedow病が圧倒的に多いため,甲状腺機能亢進症がBasedow病の同意語として用いられることもある.表1に示すように,甲状腺機能亢進症状(甲状腺中毒症)をきたす疾患には種々のものがある.このうち甲状腺でのホルモン合成が亢進しているグループと,していないグループの区別は治療上大切である.前者が治療を行わない限り基本的にホルモン合成が亢進し続けるのに対し,後者の血中甲状腺ホルモン濃度の上昇は,多くの場合一過性であるからである.
本稿では以下Basedow病の治療を述べる.
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