増刊号 Common Disease 200の治療戦略
内分泌疾患
下垂体前葉機能低下症
板東 浩
1
,
斎藤 史郎
1
1徳島大学医学部第1内科
pp.392-393
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904131
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疾患概念と病態
下垂体前葉機能低下症(hypopituitarism)は,単独または複数の下垂体前葉ホルモン〔ACTH(副腎皮質刺激ホルモン),TSH(甲状腺刺激ホルモン),LH(黄体ホルモン),FSH(卵胞刺激ホルモン),GH(成長ホルモン),PRL(プロラクチン)〕の分泌低下により生じる.原因は下垂体前葉障害と視床下部障害によるものがあり,下垂体腺腫,女性の分娩後下垂体壊死(Sheehan症候群),下垂体近傍の腫瘍(頭蓋咽頭腫,胚芽腫,髄膜腫など)の順に多く1),手術・放射線照射後,外傷,結核性髄膜炎,サルコイドーシス,自己免疫性下垂体炎,Hand-Schüller-Christian病などもある.
診断には厚生省特定疾患間脳下垂体機能障害調査研究班が作成した「下垂体前葉機能低下症診断の手引き」2)が参考になる.手引きには主症候と検査所見がホルモン別に列挙されており,欠乏しているホルモンの組み合わせにより,①汎下垂体前葉機能低下症,②部分的下垂体前葉機能低下症,③下垂体前葉ホルモン単独欠損症と診断する.さらに,画像検査と病因検査により病因を明らかにし,治療法の選択や予後予測する.
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