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不明熱の心得
相澤 研一
1
1向陽病院消化器内科
pp.328
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904105
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発熱が続き,解熱しない.この状態が続くと医師は悩むことになる.もし2〜3週間も続けば,医師は正しく診断・治療することができないという自信喪失につながる不安・不快感と,さらに患者・家族との信頼関係に亀裂が生じてくることによる不全感,そしてそれらのストレスは日々ますます強まることになる.したがって,日頃から不明熱の対処なるものを自分なりにあらかじめ心得ておくことは有意義であると考えられる.
発熱が続くのに診断できない場合として,①手がかりがつかめず診断できない,②明らかに特徴的な症状,症候が存在しているのに診断できない,③診断は正しいのに治療が適切でない,または逆に誤診のもとに加療している,などが挙げられる.②,③は経験不足,勉強不足であるから,その時点の解決策としては,その道の専門医に教えを乞うか,または先輩医師に診てもらうのが最良であろう.最大の難関は①であり,誰が診てもまずわからない場合であり,いわゆる本来の不明熱である.私が経験した印象深い不明熱の症例はpsoas abscessであった.思いもかけない疾患だった.次はFournier's gan-greneであった.私の専門は消化器だが,思いもかけない部位だった.
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