今月の主題 見えてきた腎疾患
病態の解明されつつある腎関連疾患
家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症
中林 幹雄
1
,
五十嵐 徹也
1
1東京大学医学部第4内科(分院)
pp.2033-2037
発行日 1995年10月10日
Published Date 1995/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402903898
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ポイント
●家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症(familial hypocalcemic hypercalcemia:FHH)は高カルシウム(Ca)血症と相対的な低Ca尿症を特徴とする無症候性の良性疾患である.
●細胞膜上のCa受容体に機能異常があり,血中Ca濃度の変化に伴う副甲状腺からの副甲状腺ホルモン(PTH)分泌と腎尿細管でのCa再吸収の調節が障害されているために起こる.この遺伝子上の変異が数家系について確認されている.
●G蛋白供役細胞膜受容体スーパーファミリーに特徴的な構造をもつCa受容体の発見は,本疾患の病態を明らかにしたばかりでなく,Ca代謝の調節の場である腎と副甲状腺における生理学,さらには細胞外調節因子でもあり,同時に遺伝子発現調節因子ともなるCaシグナルがどのように伝わるのかを解く重要な鍵となろう.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.