今月の主題 内分泌疾患の新たな展開
トピックス
家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症(FHH)
深瀬 正晃
1
1神戸大学医学部・第3内科
pp.452-453
発行日 1985年3月10日
Published Date 1985/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219669
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家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症(Familial hypocalciuric hypercalcemia,以後FHHと略す)は,1972年Foleyらが12人の実質上病的状態にない高カルシウム(Ca)血症の一家系を家族性良性高Ca血症(Familial benign hyper-calcemia)として報告したのが最初である.本症は常染色体優性遺伝形式をとり,FHH家系での高Ca血症の出現率は年齢的には10歳までに100%近く認められる.高Ca血症は一生涯続くが,無症候性であり治療の必要を認めない.副甲状腺別出を行っても高Ca血症の改善を認めないか,あるいは一生涯の副甲状腺機能低下症をきたす結果に終るだけに,手術の絶対適応となる原発性副甲状腺機能亢進症(1°HPT)との鑑別が重要となる.FHHはCa代謝そのものの障害を多器官(腎臓および副甲状腺)にもつ最初の症例と考えられてきた.腎臓では尿細管のCa++"再吸収が亢進する結果,尿中Ca++排出の減少をきたし,高Ca血症を招来する一方,副甲状腺は高Ca血症の持続にもかかわらず萎縮せず,むしろ副甲状腺の過形成を認める例が多いと言う.
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