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第9章 糖尿病・代謝・内分泌
[高カルシウム血症の原因となる内分泌疾患]Ca感知受容体に対するバイアス抗体が原因となる後天性低カルシウム尿性高カルシウム血症(AHH)の解析とそこから広がる世界
槙田 紀子
1
1東京大学大学院 医学系研究科内分泌病態学
キーワード:
G蛋白質共役受容体(GPCR)
,
Ca感知受容体(CaSR)
,
高カルシウム血症
,
バイアス抗体
Keyword:
G蛋白質共役受容体(GPCR)
,
Ca感知受容体(CaSR)
,
高カルシウム血症
,
バイアス抗体
pp.745-749
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika134_745
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Summary
・後天性低カルシウム尿性高カルシウム血症(AHH)は,Ca感知受容体(CaSR)に対するブロッキング型の自己抗体が原因となる疾患として2004年に報告されたが,われわれは臨床的にAHHと診断される患者においてCaSRに共役するG蛋白質のうちGq/11を刺激,Gi/oを抑制するバイアス抗体を同定してきた.
・バイアス抗体の機能解析をするなかで,副甲状腺からのPTH分泌制御メカニズムに関するドグマを壊してきた.
・本邦におけるAHHの共通性として,多くは高齢男性でみられること,ほかの自己免疫疾患の合併はほとんどないこと,Ca受容体作動薬が特異的治療として奏効すること,Gq/11とGi/oを逆向きに制御するバイアス抗体が同定されることを見出してきた.
・今後は,なぜ本邦でバイアス抗体が生じるのか,そしてその抗体が安定化するCaSRのユニークな構造を明らかにしていきたい.
© Nankodo Co., Ltd., 2024