今月の主題 不整脈診療のための心電図の見方
不整脈診断に役立つ電気生理学の知識
Overdrive suppressionとは
鈴木 文男
1
1東京医科歯科大学医学部第1内科
pp.905-907
発行日 1995年5月10日
Published Date 1995/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402903641
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ポイント
●心臓の刺激伝導系の心筋組織(洞結節,房室接合部,His-Purkinje系線維)には自発的に興奮する能力(自動能)を持つ細胞が存在する.
●自動能を持つ細胞の最大の特徴は,拡張期(第4相)の膜電位が一定にとどまることなく徐々に脱分極して行く点にある.この現象を緩徐拡張期(第4相)脱分極と呼ぶ.
●自動能を持つ心筋細胞に対して,固有の自動能よりも高い頻度の刺激ペーシングを行うと自動能の抑制が見られる.この抑制効果をoverdrive suppressionと呼ぶ.
●洞結節より下位の心筋は,常に洞結節からのインパルスによるoverdrive suppressionを受けている.
●細胞レベルにおけるoverdrive suppressionの機序は現在でも不明な点が少なくない.
●overdrive suppression試験は洞不全症候群における徐脈発作誘発法の一つである.洞結節機能の低下した状態では,著明なoverdrive suppressionが出現する場合が多い.
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