図解 病態のしくみ—遺伝子・サイトカインからみた血液疾患・5
慢性骨髄性白血病
高山 信之
1
1慶應義塾大学医学部内科
pp.1053-1058
発行日 1994年5月10日
Published Date 1994/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402902757
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●はじめに 慢性骨髄性白血病(CML)は多能性血液幹細胞のクローナルな増殖性疾患である.通常,顆粒球系細胞の異常増殖を主徴とする慢性期(chronic phase)に始まり,数年の経過の後に,多くの場合移行期(accelerated phase)を経て,急性白血病と同様,芽球の増多を認める急性転化(blast crisis)に至る.このような多相性の経過をとり,段階的に悪性化が進展するという点は本疾患の大きな特徴である.もうひとつ,本疾患のユニークな点は,Philadelphia染色体(Ph1)と呼ばれる特徴的な染色体異常が90〜95%に認められることである.Ph1染色体はt(9;22)(q34:q11)の相互転座を意味するが,近年の分子生物学の進歩により,染色体転座の遺伝子構造はほぼ明らかにされ,CMLは白血病の中では分子レベルでの病態解析が最も進んでいる疾患となった.本稿では,最近の分子生物学的知見を中心に,CMLの病態について概説してみたいと思う.
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