今月の主題 外科から内科へのメッセージ
内視鏡下外科手術の現況と問題点
早期胃癌
大上 正裕
1
,
北島 政樹
1
1慶應義塾大学医学部外科
pp.905-907
発行日 1994年5月10日
Published Date 1994/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402902723
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ポイント
●早期胃癌のなかでも深達度が粘膜内にとどまる胃粘膜癌では,リンパ節転移の確率は数%であるが,胃粘膜癌のうち,正しく適応を設定することによりリンパ節転移のない症例群の選択が可能である.
●胃粘膜癌と診断されたもののうち,隆起性病変(IIa)では長径25mm以下,陥凹性病変(IIc)では15mm以下でul(-)のものには,まずリンパ節転移はないと考えられ,病変の確実な局所切除により根治が得られる.
●これらの適応を満たしたものに対する腹腔鏡下の病変の切除術には,胃壁の全層を切除する腹腔鏡下胃局所切除術と粘膜および粘膜下層を切除する腹腔鏡併用胃内粘膜切除術があり,どちらも根治性,低侵襲性,臓器温存性を併せ持つ.
●これらの腹腔鏡下手術は,内視鏡的粘膜切除術(EMR)と比較して,病変の辺縁より10mm以上離した確実な切除が行えることが最大の利点であり,長径10mm以上の比較的大きな胃粘膜癌の治療に有用である.
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