対談 内科診療のあゆみ・9
血液疾患診療の進歩
池田 康夫
1
,
尾形 悦郎
2
1慶應義塾大学医学部内科
2癌研究会附属病院
pp.1788-1800
発行日 1993年9月10日
Published Date 1993/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402902294
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尾形 血液の分野といいますと,私が臨床を始めた頃にまずイメージとして上がった病気は貧血です.私どもは自分で血算をし,自分でsmearを作り,自分で染めて見ました.今はほとんど数字の書かれた伝票を見るだけと思うのですが.
そんなことを思い出しながら貧血について考えてみますと,昔は寄生虫が多かったせいもあるのですが,貧血があるとまず内科医としては消化管の異常,あるいは寄生虫による異常,女性の場合には鉄欠乏性貧血などを考えて,そういう病気を鑑別診断していました.鉄欠乏性貧血が当時は一番多かったわけですが,治療としては,経口的にどういう鉄剤をやるか,あるいは鉄剤は還元剤と一緒にやるか,食事の前がいいか,後がいいか,お茶を飲むか飲まないか,あるいは急ぐ時には静脈注射で計算してやるか,そういうことが主として思い浮かびます.そこで,鉄欠乏性貧血について,現在の先生のご理解と臨床医としてのアプローチをお伺いしたいと思います.
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