対談 内科診療のあゆみ・7
腎疾患診療の進歩
荒川 正昭
1
,
尾形 悦郎
2
1新潟大学医学部第2内科
2癌研究会附属病院
pp.1368-1379
発行日 1993年7月10日
Published Date 1993/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402902201
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尾形 私が昭和30年の前半に医者になった頃,結核とか腫瘍は別として,いわゆる内科的な腎疾患というと,すぐ思いつくのは腎不全,尿毒症,ネフローゼ症候群,それから,腎盂腎炎のような感染症に由来するものがありました.
当時は,腎臓の病気というとglomerulusの病気であって,その治療というと,尿毒症になるから蛋白制限をし,血圧が上がるから食塩制限をしようというものでした.ネフローゼの場合には,尿に蛋白が出て,その大部分は,あの当時は確か尿細管の異常と理解されていて,治療は,むくみがひどいから,水の制限と適度の利尿薬でした.佐々廉平先生の本では,いかに利尿薬を使うか,その利尿薬も今と違って水銀利尿薬でした.そういうところまでしか医者の関与するところがなくて,あとは安静でした.
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