心療内科コンサルテーション・7
一般内科臨床における心理療法とは
村岡 衛
1
1九州大学医学部・心療内科
pp.2328-2332
発行日 1992年12月10日
Published Date 1992/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901910
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心理療法とは
心理療法には精神分析療法,行動療法,家族療法,森田療法など厳密に定義されたものから,人によって意味合いの異なる治療法があり,内科医にとって縁遠いものである.しかし,内科の教科書の診断学の項には次のように書かれている.「今日の内科学は,病気を持つ病人を心身両面や家族社会体系という関係から受けとめなければならず,従って個人を病気から救うためには,在来の狭い医学的方法の他,心理学的・行動科学的方法をも合わせ,秩序あるアプローチをなすべきものである1).」
心理療法とは,病院を訪れた患者が何を考え,何を要求しているか,どのような背景で病気になったかを考えるところから始まる.それが了解可能であれば,内科の範疇で対処し得る.了解可能であるかどうかが問題である.そして,患者の認知,行動,感情,意志に積極的に関わることが心理療法である.場合によっては家族にも積極的に関わる.また,特殊な治療が必要であるときは心理療法の専門家に依頼すればよいし,どのような治療をするかは専門家の判断に任せればよい.しかし,専門家に依頼する必要があるかどうかの判断は内科医の仕事である.同時に,手に余るようであれば専門家に早く依頼したほうがよい.以上が原則である.
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