今月の主題 胸部X線からの肺疾患の診断と治療
肺病変を伴わない胸水
アスベストーシス(良性石綿胸水)
三浦 溥太郎
1
,
木村 雄二
2
1横須賀共済病院・内科
2横須賀共済病院・病理
pp.1465-1467
発行日 1992年8月10日
Published Date 1992/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901647
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ポイント
1)石綿に起因する非悪性の胸水を良性石綿胸水という.
2)胸水は画像で確認されればよいが,鑑別は除外診断による.悪性腫瘍の除外には,発症後2〜3年の観察期間を要する.
3)胸水は滲出液で,少量のことが多く,しばしば肉眼的に血性である.また胸水中の好酸球増多が約20%にみられる.
4)約半数は無症状で,かつ自然に消退する.しかし,再発が約25%にみられる.
5)後に約半数は,びまん性胸膜肥厚に進展する.また円形無気肺や,肺尖胼胝を呈することもある.
6)肺病変(石綿肺)の程度とは無関係に,肺機能が著しく低下することがある.
7)確実な治療法はない.
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