カラーグラフ 電子内視鏡による大腸疾患の診断・6
腸結核
多田 正大
1
1京都第一赤十字病院・第2内科
pp.1279-1283
発行日 1992年7月10日
Published Date 1992/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901603
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いろいろな大腸疾患のうち,日本人に増加している疾病と減少しているものがある.腸結核も著しく減少している炎症性疾患である.治癒期(瘢痕期)の病像を内視鏡観察する機会は少なくないが,活動期の炎症を経験することは目立って減少している.その理由は,私達の生活環境の向上,化学療法の普及などによって肺結核が激減していることにほかならない.
腸結核は肺結核患者が結核菌の混じった喀痰を嚥下することによって,腸管の中ではリンパ装置の豊富な回盲部を中心に炎症をきたすものである.肺に病変がなく,腸管単独に炎症をきたすこともある(孤在性腸結核症)が,そのようなケースは稀である.
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